02 UVを基本から解説
UV(紫外線)とオゾン
UV(紫外線)とオゾンについて解説いたします。
オゾン(Ozone)とは
大気中に気体としてわずかに存在する酸素の同素体です。
化学式はO3で、酸素原子(O)と酸素分子(O2)が結びついている構造です。
また、大気中のオゾンの90%以上は成層圏にあり、オゾン層と呼ばれています。
オゾン層は、太陽からの紫外線を吸収することで地球上の生物を保護する役割を果たしています。
オゾンの語源は、ギリシャ語で「匂う」「嗅ぐ」を意味する「OZEIN」に由来します。
また「臭い」という意味を表す「ODOR」が変化していき、オゾン(OZONE)になったとも言われています。
どちらも”におい”に関係する言葉が語源になっている通り、オゾンは鼻をつくような不快なにおいがし、「プールの消毒のにおい」「青臭いにおい」などと表現されています。
ただし、自然界でのオゾン濃度は低濃度なため、通常、人間の嗅覚には感知されません。
オゾンの濃度は市街地で0.01~0.03ppm、海岸は約0.03~0.06ppm、森林や山では約0.05~0.08ppmになります。
ちなみに、大気中に含まれる酸素濃度をppmで表すと210,000ppmになります。
オゾンにはフッ素の次に強い酸化作用があり、その酸化作用を利用してウイルスの不活化や殺菌・消毒、脱臭・脱色、水処理などに活用されています。
一方でオゾンは時間とともに安定した酸素(O2)に戻る性質があるため、残留性がなく環境に問題をもたらすことはありません。
UV(紫外線)でオゾンが発生する原理
酸素分子(O2)が184.9nm (約185 nm)の紫外線を受けると、光解離により2つの酸素原子(O)に分解され、そのうちの1つの酸素原子(O)が大気中の1つの酸素分子(O2)と結合することによってオゾン(O3)が生成されます。
さらに、オゾンが253.7nm(約254nm)の紫外線を受けると、励起状態の反応性の高い活性酸素が生成されます。
UVと表面洗浄・表面改質
主に短波長のUVランプを有機物に照射すると有機物が分解されます。
同時にオゾンから活性酸素が生成され、分解された有機物と活性酸素が結合することにより、二酸化炭素や水などの揮発物質に変化し蒸発します。
この性質を利用して、基板などの表面洗浄(有機物除去)や表面改質に応用されています。
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