02 UVを基本から解説
紫外線硬化樹脂の硬化のメカニズム
紫外線硬化樹脂は、モノマー(単量体)、オリゴマー(少数のモノマーが結合した重合体)、光重合開始剤、添加剤(フィラーや紫外線吸収剤など)で構成されています。種類は大きく分けてラジカル重合型とカチオン重合型の2種類に分類されます。紫外線を照射すると開始剤からラジカルが発生して反応が開始するラジカル重合型(アクリレート系)。紫外線を照射すると開始剤から酸(カチオン)が発生して反応が開始するカチオン重合型(エポキシ系)です。樹脂のバリエーションの多さや価格面からラジカル重合型のアクリレート系の樹脂が多く使われていますが、カチオン重合型にはラジカル重合型にはない特性があり、様々な用途への応用が展開されています。
ラジカル重合型樹脂(アクリレート系)、カチオン重合型樹脂(エポキシ系)は、それぞれ以下のような特徴があります。
ラジカル重合型樹脂(アクリレート系)
ラジカル重合型樹脂(アクリレート系)の特徴として以下があげられます。
・樹脂やモノマーの種類が多いため組成自体のコントロールがし易い
・水分や塩基、酸等による硬化阻害がない
・比較的硬化速度が速く厚膜硬化に適している
・酸素による硬化阻害を受ける
・硬化時の収縮が大きい
カチオン重合型樹脂(エポキシ系)
カチオン重合型樹脂(エポキシ系)の特徴として以下があげられます。
・硬化時の収縮が小さい
・酸素阻害を受けないため、UV-C域の光がなくとも表面硬化性が優れる
・紫外線照射後も重合が進む
・樹脂やモノマー、開始剤の種類が少なく価格が高い
・厚膜での硬化が遅い
・塩基性雰囲気では硬化しない
ラジカル重合型樹脂とカチオン重合型樹脂
どちらも光重合反応で、紫外線のエネルギーによってモノマーとオリゴマー(液状)をポリマー(固体)に相変化させる化学反応の技術です。
この光重合反応は、①光重合開始剤が紫外線を吸収して活性化(励起)します。②開裂反応、水素引き抜き、電子移動などの反応が起こり、ラジカル分子や水素イオン等の反応を開始する物質が生成されます。③生成したラジカル分子や水素イオン等がモノマーやオリゴマーを攻撃し3次元的な重合や架橋反応が連鎖的に起こります。④この反応で一定以上の分子量に変化すると固体(硬化)になります。
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