06 紫外線(UV)照射装置の用途
紫外線(UV)硬化装置の用途
紫外線(UV)硬化装置とは
UV硬化装置とは、紫外線(UV)照射を行い、紫外線硬化樹脂などを硬化(UV硬化)させる装置のことです。使用される業界は幅広く、半導体、住宅、車、プラスチック製品などございます。
紫外線(UV)効果が起こる仕組み
紫外線硬化樹脂は、モノマー(単量体)、オリゴマー(少数のモノマーが結合した重合体)、光重合開始剤、添加剤(フィラーや紫外線吸収剤など)で構成されています。
紫外線(UV)照射を受けた際、これらのうちモノマーとオリゴマー(液状)がポリマー(固体)に変化する「光重合反応」という化学反応が起こることで、接着や固定が可能となります。
紫外線(UV)硬化装置の用途
紫外線(UV)硬化装置は、様々な用途に活用されています。例えば、身近なところでは、ネイルの硬化や歯の詰め物の硬化などに使用されています。また、半導体製造工程におけるフォトレジストや光学部品の接着、住宅や車載向け表面コーティング、UVインクの硬化、3Dプリンターの造形、液晶フィルム基板の仮止めなどの用途で紫外線(UV)硬化装置は使用されています。
特に、UV硬化装置には省スペース・省エネルギーのメリットがあり、広大な空調システムや電力消費が大きな熱乾燥処理室を必要としません。乾燥・硬化の工程から発生するCO2削減に対しても効果的です。
紫外線(UV)硬化装置の光源としてのUVーLED
硬化させる光の光源としては、従来はメタルハライドランプや紫外線ランプが多く使用されていましたが、環境への配慮やエネルギー効率の観点から、近年ではUV-LEDの使用の比率も高くなってきています。
紫外線(UV)硬化装置の光源としてのUVーLEDのメリットとしては、従来の紫外線ランプよりも電力消費量が少なく、長寿命なことから、製造工程においての省エネルギー化や、ランニングコストの削減、環境負荷の軽減が挙げられます。詳しく解説しておりますので、是非ご覧ください。
>>「紫外線(UV)硬化装置の光源としてのUVーLED」について詳しくはこちら
紫外線(UV)硬化装置のアプリケーション
ここからは、紫外線(UV)硬化装置の具体的なアプリケーションについて紹介します。
①光ファイバーコーティング材硬化用UV照射装置
光ファイバーの保護や強度の向上を目的に、コーティング材が塗布され、コーティング材の硬化にUV照射装置が使用されます。
コーティング材によって用いられる波長は異なります。複数波長の照射が必要な場合が多く、光源としてメタルハライドランプや高圧水銀ランプが使用されます。ただし、254nm、365nmなどの単一波長で硬化が可能なコーティング材もあり、その場合には光源としてUV-LEDを使用することも可能です。
②表面コート剤硬化用UV照射装置
車の塗装やコーティング、パテなどの硬化用途でUV照射装置が用いられています。
表面コート剤硬化装置は、基本的にはハンドツールであり人手にて作業を行います。
表面コート剤硬化装置のUV光源には、一般的にUVランプが用いられていますが、UV-LEDへの置き換えが検討されています。UV-LEDの置き換えにより待機時間(立ち上がり)と発熱の改善、Hgレス等が実現できます。
③光ファイバー・コネクタ接続用UV照射装置
光ファイバーとコネクタを接続する際、UVにて硬化する接着剤を用います。接着剤の種類によって対象となる波長は異なりますが、254nmや365nmの波長が一般的です。
コネクタ形状や材質によっては、UV-LEDを光源とすることが出来ますが、左記の制約によりUVランプを光源とすることが多くなっています。
④カメラモジュール組立装置用紫外線(UV)照射装置
カメラモジュール用組立装置では、カメラ用のレンズユニットを全自動・高精度に組み立てる装置です。カメラモジュール用組立装置の中で、レンズとフレームの接着用途で、UV照射装置は用いられています。
既存装置内で、UVランプからUV-LEDへの置き換えも可能であり、UV-LEDの使用が進んでいるアプリケーションになります。
⑤ブラシ付きモータ製造装置用紫外線(UV)照射装置
装置を駆動させるために使用されるブラシ付きモータについて、バランサーの接着用途でUV照射装置が使用されています。UV光源としては、一般的にUVランプが使用されます。
しかし、UV-LEDを使用して光特性を最適化することも可能であり、長寿命化を実現する目的で、UV-LEDが使用されることも多くなっています。
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