05 半導体とUV
半導体ウェハーの洗浄に紫外線(UV)オゾン洗浄装置が使用される理由
紫外線(UV)オゾン洗浄装置とは
UVオゾン洗浄とは、汚染物である有機化合物の結合エネルギーより強いエネルギーの紫外線を照射することで、有機化合物の分解を行う洗浄方法のことです。
大気(酸素を含む雰囲気ガス)中にUV照射することでオゾン(O3)や励起状態の活性酸素(O)が生成されます。
非常に強力な酸化力を持つ活性酸素は、結合を解かれた有機化合物と直ちに酸化反応を起こします。これにより単純な分子であるCO2、H2O、O2などが生成され、表面から揮発すると同時に、有機物が除去(洗浄)されるという仕組みです。
UVオゾン洗浄は、洗浄液を使用するウエット洗浄のように化学薬品を使用することがないため環境負荷が低減できることや、放電を利用したプラズマ洗浄のようにワークに熱や帯電ダメージを与えることがないという特徴があります。
半導体ウェハーの洗浄に紫外線(UV)オゾン洗浄装置が使用される理由
半導体ウエハーに紫外線(UV)を照射することでオゾンを生成し、オゾンにより半導体ウエハー表面の有機物を除去することができます。
半導体ウエハーの洗浄は主に、「ウェット式」と「ドライ式」の2種類があります。現在の半導体製造プロセスで実用されている洗浄方法は主に、液体の薬液を使用する「ウェット式」であると言われています。
ただし、半導体ウエハーの高精細化により、ウェット式だけでは分子単位の汚れまで完全に落としきることは難しく、より高い洗浄能力が求められる際には、ウェット式だけでは不十分の場合があります。
紫外線(UV)洗浄装置を用いることで、有機物(主として油性汚濁膜)を除去し、そこに付着していたホコリなどの汚れについても、まとめてすすぎ洗いで落とすことができます。
このような理由から、紫外線(UV)洗浄をウエット洗浄の前工程として導入することで、洗浄効果を飛躍的に向上させることができるため、半導体ウェハーの洗浄に紫外線(UV)オゾン洗浄装置が使用されています。
オゾン洗浄装置のアプリケーション
ここからは、半導体ウェハーの洗浄に用いられる紫外線(UV)オゾン洗浄装置の具体的なアプリケーションについて紹介します。
半導体ウエハ用紫外線(UV)オゾン洗浄装置
半導体ウエハの洗浄用途で、UV照射装置が用いられています。UVを照射することでオゾンを生成し、オゾンによりウエハ表面の有機物を除去します。半導体ウエハ用UVオゾン洗浄装置は試作・開発用、量産用があります。試作・開発用は半自動で生産能力が低く、量産用は自動機となります。
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