04 紫外線(UV)照射装置の基礎
紫外線(UV)接着剤の塗布に使用されるディスペンサーとは
ディスペンサーに使用されるUV樹脂(UV接着剤)には、大きく分けて嫌気性を持たない物と、嫌気性を持つ物の2種類の樹脂があり、本項では嫌気性を持たないUV樹脂を使用するディスペンサーについて解説します。
UV樹脂は紫外線を吸収する事によって硬化します。そのため、UV樹脂の塗布に使用されるディスペンサーのバレル(シリンジ)には、UV樹脂が硬化してしまわないように、紫外線を遮光する専用のバレルが使用されます。
UV樹脂は比較的低粘度の物が多く、塗布するためのニードル先端から液ダレが発生してしまう事が多々あります。それを防止するためには、ニードルの内外径の選定やUV樹脂が接触するニードル管内の表面粗さ等が非常に重要となります。液ダレを少なくするように細く、所定の塗布量を精度よく吐出できるニードルサイズを選定する必要があります。
それでも液ダレは発生しやすいため、エアー塗布方式(空気圧でUV樹脂を押し出す)の場合はコントローラーで制御されるバキューム(負圧発生)機能を使用し、ニードル先端から空気を吸い込まず、かつ液ダレしない丁度良い状態に調整することが重要となります。
また、低粘度のUV樹脂の塗布量のばらつきを抑えるためには、ディスペンサーの空気圧の調整が非常に重要となります。そのため、コントローラーのレギュレータは調整精度が高い精密レギュレータ(低圧仕様(100kPa〜200kPa Max))が搭載された機種を選定することが必要です。
更にUV樹脂を高精度に塗布量を管理したい場合には、メカ式のディスペンサーを検討する必要があります。
メカ式で精度の高い塗布ができる方式は、プランジャーポンプ式、スクリューポンプ式(別にスクリューポンプ式と同じ原理のスネークポンプ式)があります。
プランジャーポンプ式は、UV樹脂が入っているバレルからポンプ内にプランジャーをストロークさせてUV樹脂を吸い込み、その後押し出して吐出します。プランジャーの直径とストローク量により容量が決まるため、塗布量のばらつきが抑えられます。
スクリューポンプ式は、螺旋状のスクリューとケースの壁の間の隙間にあるUV樹脂を、スクリューを回転することにより順次押し出していきます。スクリューの回転数を管理することができるため、塗布量のばらつきを抑えることができます。
※スネークポンプ式は、スクリューポンプ式と原理は同じで高粘度のUV樹脂を扱うのに向いています。
上記以外にも、塗布量や塗布時間、塗布対象物の材質、塗布位置とニードル先端とのクリアランス(隙間)等、さまざまな条件を考慮してディスペンサーを選定する必要があります。
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