04 紫外線(UV)照射装置の基礎
紫外線(UV)量を見える化するUVモニタなどの機器のあれこれ
UV測定器とUVモニタの違いとは何か?
一般的に目に見えないUVの量はUV強度計やUVモニタなどの計測機器を使用して知ることができます。
一般的に『UV〇〇計やUV〇〇メーター』などの測定器は、知りたいUV光の量を測定し、その結果を数値化して表示してくれます。
また、『UVモニタ』と言うものも同じくUV量を数値化してくれます。その点では測定器とあまり厳密な区別はありませんが、『モニタ』と言う意味合が『機械などの作動状態を点検したり監視したりすること。または、そのための装置』なので、その用途は測定と言うよりは『点検や監視』の意味合いの方が強いイメージがあります。
UV測定器とその利用目的の違いについて考える
UV光を利用したモノづくりでは、たとえば接着プロセス(UV樹脂硬化)や半導体製造のプロセスレシピの作成(レジストの露光)などで、そのプロセスの条件出しに試行錯誤する場合、そのUV光のエネルギーを正確な測定値として把握する必要があります。
この測定値とは言い換えれば、知りたい光エネルギーを物理量として所定の単位を利用して数値で表したものです。
よって、測定値に合わせて表記する単位を見れば『光の何を測定したいのか?』がわかります。ここで光の量を表す単位について見てみます。
光とはUVや可視を問わず電磁波の一種のエネルギーです。
また、光は発光源から様々な方向に様々な波長で放射するものなので、ひとまず、ある面積を単位時間あたりに通過する光エネルギーを放射束とします。
今、この放射束がP(λ) [ W /nm ] と言う分光分布であれば、P (λ)の積分値で示され、
∫P (λ)・dλ—-(1)となり、単位は、[W]となります。
光の物理量を表す単位で、よく[lm]を目にしますが、これは、(1)式を人の目の感度で重みづけを含めた単位です。つまり、可視光を表す単位となるため一般的に可視光から外れるUV光では使用しません。 よって、UV量に利用される単位は、[W]となります。
この(1)式は、ある面積としていますが、通常は空間的な量(単位面積や立体角など)を組み合わせることで目的に合った放射量として把握します。
以下、この放射量をもとに各測定器と照合した結果を示します。
・積算時間(s)と組み合わせて(W・s)=(J)となり、これは光量計となります。
・単位面積(m2)と組み合わせて(W/m²)とする場合、これは、強度計や照度計または、パワーメーターとなります。少しややこしいのですが、この(W/m²)を強度とするのか放射照度とするのかで判断が別れます。この単位を強度と判断すれば強度計となります。
また、強度とは放射強度[W/sr]とする場合は、(放射)照度計となります。
この他、レーザーの分野ではレーザーパワーの測定値として、この単位を使用するのでパワーメーターと呼ぶ言い方もあります。FA機器としてはUV量をモニタするものもあり、機器に入射させるパワーとして基本的に(W/m²)を使用しています。
また、市場で入手できる測定器は、その多くがマイコンを搭載しているので1台の測定器で照度(強度)と光量の両方を測定できるものもあります。
測定機器の名称の違いは、多分それぞれ測定器のメーカーの事情によるところと思いますが、測定用途を測定器の名称で判断せず表示単位で判断すれば特に問題になることはありません。
果たして測定器は万能なのか?モニタの位置付けとは?
本来、測定器と称するものは、『標準規格により定義された測定』を行うものなので、その測定値は正確な値でなくてなりません。また、その正確な値は、トレーサビリティ体系図により証明しなければなりません。測定器とは、単なる測定した結果を数値として表示するだけではなく、このような管理された位置付けにあるものを言います。
厳密に言えば、このような測定器で測定した数値が『測定値』と言うならば、それ以外の簡易的な機器で数値化された値は単なる『参考値』と言うのが妥当かと考えます。
さてここで、モノづくりの現場で自社装置にUVセンサを組み込んでUV量を把握して不良品の流出を無くしたい。そのために自社装置に取り付くようにUVセンサヘッドの形状を小さく変えて欲しいという要望があるとします。
しかし、この要望を測定器が本来の使命を維持しながら実現することは非常に難しいことです。測定器は正確な結果を出すことが使命であるため、それを犠牲にしてまでUVセンサを小さくするような現場での利便性を優先することができませんので測定器は万能とは言えません。
しかし、生産現場では突発的で予期しない故障で不具合が発生していることに気づかず生産を継続するリスクがあることは問題であり回避しなくてはなりません。
では、どうするのか?その対策として、前出の『参考値』を活用することが挙げられます。
簡易的なモニタ機器は測定器の枠から外れますが、その逆に機器としての設計自由度が大きくなり生産現場での利便性に応えることが可能になります。数値化された値は『参考値』となりますが、『測定値』との相関性や有意差が把握できれば、生産の管理においては、十分利用することができます。
『測定値』でなくては意味がないからやらないより、活用できる『参考値』を積極的に利用することは意味があります。
このようなモノづくりの現場の声をもとに製品化された弊社の『UM365-HM』は『UVモニタ』と言う位置付けでご理解頂いた多数のお客様の現場で活躍しています。
UVモニターに関する課題解決事例
次に、UVモニターに関する具体的な解決事例について紹介します。
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