05 半導体とUV
半導体に使用されるUVテープの原理とは?
UVテープとは?
UVテープは、紫外線(UV)を照射することで粘着力が変化する特殊な粘着テープです。
主に半導体製造プロセスで使用され、特にウエハの固定や保護やダイシング工程における半導体ウエハやパッケージ基板のフレームへの固定の用途で使用します。
UVテープは通常、粘着力が高いため、部品やウエハをしっかりと固定するのに適していますが、UV照射後には粘着力が低下し、簡単に剥がすことができるようになることから、UVテープの剥離にも紫外線照射装置は使用されています。
このように、UVテープは、固定と剥離の両方を簡単に行えることが最大の特徴です。
UVテープの種類と特性
UVテープにはいくつかの種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。代表的な種類としては、ウエハ固定用、ダイシング用、チップボンディング用があります。
ウエハ固定用のUVテープは、高い粘着力と共に、剥離時に残留物が少ない特性を持っています。これにより、ウエハの品質を保ちながら作業を進めることができます。
ダイシング用のUVテープは、ウエハを個々のチップに分割する際に使用され、分割後のチップをしっかりと保持する特性があります。ダイシングテープにおける剥離用の紫外線(UV)照射装置については当社も実績がございます。下記で紹介しておりますので、是非合わせてご覧ください!
>>アプリケーション:「ダイシングテープ剥離用UV照射装置」について詳しくはこちら
チップボンディング用のUVテープは、微細なチップの位置決めと固定に適しており、UV照射後には簡単に剥がせるため、精密な作業が要求される工程での利用が進んでいます。
UVテープの粘着剤の種類と構成
UVテープには、主にアクリル系粘着剤とシリコーン系粘着剤が使用されます。
アクリル系粘着剤は、高い透明度と優れた粘着力を持ち、一般的な用途に広く使用されています。
一方、シリコーン系粘着剤は、耐熱性や化学薬品に対する耐性が高く、過酷な環境下での使用に適しています。これらの粘着剤は、UV照射によって粘着力が変化する特性を持ち、剥離が容易になります。
また、UVテープの粘着剤の構成要素としては、ベースポリマー、紫外線吸収剤、安定剤、可塑剤などの成分で構成されています。
ベースポリマーは、テープの基礎的な粘着力を提供し、紫外線吸収剤はUV光を吸収して粘着剤の化学構造を変化させます。
安定剤は、粘着剤の劣化を防ぎ、可塑剤は粘着剤の柔軟性を向上させます。これらの成分がバランスよく配合されることで、UVテープは高い粘着力と優れた剥離性を実現しています。
UV剥離の原理・仕組み
UV最後にUV剥離の原理・仕組みについてもご紹介します。
UV剥離の原理は、簡単に述べると紫外線がテープの粘着剤に作用し、その化学構造を変化させることにあります。具体的には、紫外線が粘着剤中の分子結合を破壊し、粘着力を低下させます。
このプロセスにより、粘着剤は元の粘着力を失い、剥離が非常に簡単になります。UV剥離は、微細な部品やデリケートなウエハに対しても効果的であり、製造プロセスの品質を保ちながら作業を進めることができます。
また、UV照射による剥離は、従来の機械的な剥離方法に比べて、部品やウエハにかかるストレスが少ないため、ダメージを最小限に抑えることができます。
UVテープの剥離に特化した記事が下記にございますので、こちらも是非合わせてご覧ください!
>>技術コラム:「紫外線(UV)によるUVテープ剥離の原理」
>>技術コラム:「ダイシングテープの剥離に使用される紫外線(UV)照射装置について」
UVテープに使用される紫外線(UV)照射装置の具体的アプリケーション
次に、UVテープに使用される紫外線(UV)照射装置の具体的アプリケーションについて説明していきます。下記事例はUV剥離の事例になりますが、UVテープを製造する際に使用する紫外線照射装置も対応が可能です。
①ダイシングテープ剥離用UV照射装置
半導体製造ラインにおいて、半導体ウエハのダイシング工程でテープを剥離するために、UV照射装置が用いられています。
UVテープを剥離する際に使用するUVの波長は365nmが一般的で、水銀ランプやメタルハライドランプ、UV-LED、ブラックライトなどが光源として使用されています。
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