02 UVを基本から解説
UVランプの発光波長
紫外線を放出するランプには主として水銀が用いられています。紫外線は水銀の蒸気中のアーク放電によって放出されます。
水銀の輝線スペクトルを主としているため、放出される光の波長は185nm、253.7nm、296.7nm、302.1nm、313.1nm、334.1nm、365nm、404.7nm、407.8nm、435.8nm、546.1nm、577nm、579.1nm等です。
ショートアークランプ(超高圧水銀ランプや水銀キセノンランプ等)では、始動ガスとしてXeやAr、Kr等の希ガスが水銀と一緒に封入されています。
また、水銀と一緒にハロゲン化金属を封入する事により水銀の輝線スペクトルを生かしつつ、ブロードな発光波長(250~450nm)が得られるメタルハライドランプ等も存在します。 ランプ管球部内に封入する水銀量やハロゲン化金属の種類や量を調整する事により、様々な波長を放出させることが可能となります。
一方で、水銀を使用せず紫外線を放出可能なランプも存在します。
キセノンランプはショートアークランプと同様、ランプ管球部に封入したキセノンガスの励起によって発光します。発光波長は300nm以下の紫外線から赤外線まで連続した波長の光が放出されます。 特に赤外域には強い輝線スペクトルが放出されます。
放電を利用したエキシマランプは、希ガスまたは希ガスとハロゲンガスの混合ガスを二重石英管の中に封入し、内側管、外側管にそれぞれ配置した電極に高周波、高電圧を印加する事によって石英管内のガスが励起され、エキシマ状態(励起分子状態)となり基底状態に遷移する際に光を放出します。
発光波長としてはAr2 126nm、Kr2 146nm、Xe2 172nm、KrCl 222nm、XeCⅼ 308nm等があります。
UVの種類と波長域
UVはその波長域に応じて、主にUV-A、UV-B、UV-Cの3種類に分類されます。UVの種類と波長域については、下記記事でも詳しく解説しております。
UV-Aとは
太陽から放射される波長315~400nmの光です。大気圏でほとんど吸収されないため、ほぼ99%が地表に到達しています。
UV-Aは、UV(紫外線)の中では波長が長く、主にUV硬化用途に用いられる波長域になります。
このようなUV硬化は200nm〜400nmの波長域の範囲で反応が起こります。その中でも、硬化を目的とする場合、365nmの波長が用いられることが多いです。
>>UV(紫外線)の波長域の365nmについて、特徴と主な使用用途を教えてください。
>>UV(紫外線)の波長域の380nmについて、特徴と主な使用用途を教えてください。
UV-Bとは
太陽から放射される波長280~315nmの光です。あって、大気圏で強く吸収されますが、一部が地表に到達しています。人体に与える影響として、皮膚に赤く炎症をおこさせ、メラニン色素を増やします。 皮膚にあたった光の多くは皮膚表面で吸収されてしまいますが、繰り返し浴びる事によってシワやシミなどの老化の促進につながります。特に、波長280nm付近の光は皮膚がんや白内障等を引き起こす原因のひとつとされています。
UV-Cとは
太陽から放射される波長200~280nmの光です。基本的に大気圏の酸素やオゾンにより強く吸収されるため、地表には到達しません。
UV-Cは殺菌、除菌、消臭などに利用される波長域になります。波長域の260nmはその中でも、殺菌に効果を発揮する波長です。
200nm〜300nmのUV(紫外線)は、DNA、RNA、タンパク質に吸収される特性を持っています。そのため、このような波長域では吸収されたUV(紫外線)は、細胞壁を破壊し、DNA機能を排除するため、細菌を死滅させることができます。
>>UV(紫外線)の波長域の220nmについて、特徴と主な使用用途を教えてください。
>>UV(紫外線)の波長域の254nmについて、特徴と主な使用用途を教えてください。
>>UV(紫外線)の波長域の260nmについて、特徴と主な使用用途を教えてください。
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