01 知ってほしいLEDのこと
LEDの消費電力
LEDを使用した電球形態の製品(LED電球)が、一般家庭内で使用されるようになりました。よくLED電球を従来の白熱電球との性能比較として消費電力のメリットが説明されいますが、ここでは、少し目先を変えてLED電球に使用されている部品レベルのLEDへの供給電力に着目して説明したいと思います。
高効率なLED
LEDは、その高効率性を電気エネルギーを直接、光に変換するからであるという説明がされています。
それに対して白熱電球は、電気エネルギーでフィラメントを加熱することで発光するため発熱が大きくエネルギー損失が大きいことは、理解しやすいかと思います。
では、電気エネルギ―を直接光に変えるのだから、LEDは発熱しないと思われるかもしれませんが大きな間違えです。これは、発光原理であり電気エネルギーを100%光に変換することではないからです。
モノづくりの立場からLEDを部品として見た場合、LEDの発熱(自己発熱)に対する放熱対策の善し悪しが、LED本来の性能ポテンシャルを引き出す上で重要なポイントとなります。
LEDに供給される電力
LEDに供給される電力は、LEDに流す電流(順電圧If)と電流を流した時に発生する電圧(順電圧Vf)で算出されます。
例えば、UV-LEDの場合、Ifとして1A流すとした場合、Vfは3.8V程度になります。
この場合の電力は、3.8Wとなりますが、この内、光に変換されない60%の電力は、概ね熱になります。つまり、LED素子単体は、2.3W程度で自己発熱することになります。
仮に供給電力の3.8Wを消費電力とするなら、2.3Wは損失電力となります。
縦よこ数ミリのパッケージが2.3Wで発熱することについて、『たったの2.3W…』か『2.3Wも…』で判断が変わりますが、たいていのところ光源メーカー側の判断は、後者になるかと思います。
LEDの中でも比較的流す電流の大きいパワーLEDであっても、光量の不足を補うためにLEDを複数個使用するケースが多々あります。仮に同じ10個使用するならば概ね発熱に寄与する電力は23W(ノートパソコン1台の消費電力相当)になります。
また、LEDは、半導体製品であるため、その性能や寿命は、熱に大きく依存します。
数多く市場にあるLED光源製品は、単にLEDを配置している点灯しているのではなく、いかに電力損失(自己発熱)の影響を抑えるか配慮されたものになっています。
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