06 紫外線(UV)照射装置の用途
紫外線(UV)照射装置を用いた非破壊検査の用途
非破壊検査とは
非破壊検査は、材料や製品の内部や表面の欠陥や劣化を、検査対象物を傷つけることなく調べる検査技術、検査方法です。
超音波や放射線、紫外線などを利用することで、検査対象物を傷つけずに検査を行うことができます。建物、橋、鉄道などの建築物等の大きなものから、車や各種機器などを検査対象としています。
非破壊検査と対をなすのが、破壊検査です。その名の通り、検査対象物の内部の欠陥等を調べるために、切断もしくはそれに準じた方法で内部の状態を確認します。この検査方法は、検査対象物の価値や機能が損なわれてしまうという欠点があります。
また、非破壊検査と破壊検査の中間に位置するのが部分破壊検査です。
この方法では、検査対象物の形状をわずかに変えながら、機能や特性に影響を与えずに内部の状態を確認します。部分破壊検査の例としては、材質判定のための火花試験があります。
非破壊検査の種類・方法
非破壊検査の種類、方法は下記の表のように分類されます。
内部欠陥 | RT:放射線透過試験 |
UT:超音波探傷試験 | |
表面開口欠陥 | PT:浸透探傷試験 |
表層部欠陥 | ET:過流探傷試験 |
MT:磁粉探傷試験 |
各検査方法を具体的に解説します。
RT:放射線透過試験
放射線透過試験は、X線やガンマ線などの放射線を使用し対象物の内部を検査する手法です。物体の密度や厚みに応じて変化する透過率から内部の欠陥や製品の厚みを可視化することができます。
この方法は、鋼板の厚み測定や建造物の内部調査に適しています。
UT:超音波探傷試験
超音波を利用し、対象物の内部の傷の検出や厚さを測定することができます。
超音波は材質の境界面で反射するため、その性質を活かして、反射し帰ってくるまでの時間や反射した超音波の大きさから内部の状態を推測することが可能です。
放射線と比べて安全性が高いため、広く使用されている方法の一つですが、複雑な構造を持つ物体の検査には不向きとされています。
PT:浸透探傷試験
浸透性の高い検査液を対象物に塗布し、表面の傷や割れなどを検出する検査方法です。
木材以外のほとんどの金属や非金属に適用できるため、幅広く使用されていますが、浸透液を塗布した後に表面の浸透液を洗浄して現像剤を塗布するなど、多くの工程が必要という欠点もあります。
ET:過流探傷試験
導電性のある対象物に交流の電気を流したコイルを近づけ、電磁誘導によって生じる渦電流の変化を利用し、表面の割れなどの欠陥を検査する方法です。
電気信号処理のみで判定ができるため、工程が少なく製造ラインでの検査をはじめとして広く利用されていますが、導電性をもつ物体しか検査できないという欠点もあります。
MT:磁粉探傷試験
対象物に磁粉を含んだ検査液を塗布し、その上に電磁石を近づけて電流を流すことで発生した対象物表面での磁粉の配置の変化を観察し、表面の傷や欠陥の検査を行う方法です。磁粉を散布し傷を発見するため、非磁性体に利用することはできないです。
紫外線(UV)照射装置を用いた非破壊検査の用途:蛍光浸透探傷試験
紫外線(UV)照射装置を用いた非破壊検査として挙げられるのが、蛍光浸透探傷試験です。この検査方法は浸透探傷試験の一種で、蛍光物質が添加された浸透液を対象物に塗布し、暗所で対象物に紫外線を照射することで、表面の傷や割れを観察することができます。
この検査方法は、非常に高い検出感度を持ち、微小な傷も検出できるという特徴があります。
蛍光探傷装置に使用されるUVの波長は365nmが一般的です。また、JIS Z 2343-1:2001(非破壊試験―浸透探傷試験―第一部:一般通則)では20Lx以下の暗さの中で観察を行い、紫外線強度は1000μW/cm2以上が必要とされています。
適切な検査を行うためには、これらの規格の要求を満たすブラックライトや暗所を準備する必要があります。
このような浸透探傷試験の一種である蛍光浸透探傷試験が、紫外線(UV)照射装置を用いた非破壊検査の一例として挙げられます。
紫外線(UV)照射装置を用いた非破壊検査のアプリケーション
ここからは、紫外線(UV)照射装置を用いた非破壊検査の具体的なアプリケーションについて紹介します。
蛍光浸透探傷装置用紫外線(UV)照射装置
蛍光浸透探傷装置は、蛍光物質が添加された浸透液をワークに塗布し、紫外線を当てることで、目視による発見が難しい傷の有無を、非破壊で検査する装置です。蛍光浸透探傷装置では、ブラックライト照射時の紫外線強度が規格により定められていることが多く、1,000μW/cm²以上の強度が一般的には求められます。
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