04 紫外線(UV)照射装置の基礎
医療機器に使用される紫外線(UV)照射装置について
医療機器に使用される紫外線(UV)照射装置
医療機器に使用される紫外線照射装置は、病院や医療施設での感染制御や滅菌処理に使用される装置です。紫外線照射は、微生物やウイルスの不活性化や除去に対して効果的な方法であり、医療機器の滅菌や感染症対策の一環として使用されています。
医療機器や器具は感染のリスクを含んでいるため、滅菌が必要です。医療機器の表面や内部に照射し、滅菌処理を行います。
特に、波長域100nm~280nmの深紫外線(UV-C)は、ウイルスや細菌などのDNAやRNAに吸収される性質があるため、ウイルスや細菌などにUV-Cの紫外線を照射することでDNAやRNAに直接ダメージを与え、破壊することができます。
これにより、化学薬品を使用しなくてもウイルスや細菌などを滅菌、殺菌をすることができます。
下記記事でも、紫外線照射装置の滅菌処理の仕組みや用途について解説しておりますので、こちらも合わせてご覧ください。
>>「ウイルス抑制・殺菌用途のUV照射装置の仕組み」について詳しくはこちら
>>「紫外線(UV)照射殺菌装置の用途」について詳しくはこちら
また、滅菌以外の用途として、注射針製造工程において接着用途で使用するケースも御座います。紫外線照射による接着は、速乾性があり、強固に接着する事が可能です。硬化時間が短く、迅速に製品を組み立てることができるため、医療機器向けに使用されています。
このように、紫外線照射装置は接着を目的として利用されることが多々あります。
接着したい対象を紫外線(UV)照射をした際、紫外線硬化樹脂の中のモノマーとオリゴマー(液状)がポリマー(固体)に変化する「光重合反応」という化学反応が起こることで、接着や固定が行われます。
下記記事でも接着、硬化について詳しく解説しておりますので、合わせてご覧ください。
>>「紫外線(UV)硬化装置の光源としてのUVーLED」について詳しくはこちら
医療機器に使用される紫外線(UV)照射装置のアプリケーション
ここからは、医療機器に使用される紫外線(UV)照射装置の具体的なアプリケーションについて紹介します。
注射針用の紫外線(UV)照射装置

注射針製造工程において、PC(ポリカーボネート)と金属の接合用途として、UV照射装置が用いられています。PCは紫外線を吸収し劣化の懸念があるため、照射角度や出力など、最適化が必要になります。 照射ヘッドについては、スポット型・ライン型の双方が、仕様に応じて用いられます。また、UV照射装置を単独で用いるハンディタイプだけではなく、注射針製造装置の中に組み込む場合もあります。
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