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06 紫外線(UV)照射装置の用途

紫外線(UV)照射装置とは?紫外線(UV)照射装置の主な用途や特徴をご紹介!

紫外線(UV)照射装置とは

紫外線照射装置は、紫外線を発生させる装置であり、様々な目的に使用されます。

紫外線は、可視光線の外側に位置する電磁波であり、波長によってUV-A、UV-B、UV-Cの3つの種類に分けられます。それぞれ各波長には、使用される用途に違いがあります。例えば、UV-Cは、空気や水、表面などの殺菌・消毒、脱臭などの用途として使用されます。

>>「UVの種類と波長域」について詳しくはこちら

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弊社の取り扱う UV照射装置は、搭載する発光源で分けた場合、UVランプ照射装置とUV-LED照射装置に分類することができます。
UVランプは、石英ガラス管内に発生させた金属蒸気(弊社で扱うランプは、主に水銀)内で放電することで紫外線を発光するもので放電灯とも呼ばれています。
一般的に絶縁ギャップを保持するように配置された電極間の距離に応じて、ショートアークランプ(10mm以内)とロングアークランプ(数100mm)に分けられます。ランプの電力は、それぞれの用途で要求されるUV量に応じてさまざまな仕様のものが製品化されています。

>>「紫外線(UV)照射装置の種類」について詳しくはこちら

また、紫外線照射装置は、病院や医療施設、水処理プラント、半導体業界等さまざまな場所や産業で使用されています。

紫外線(UV)照射装置の主な用途や特徴をご紹介!

次に、紫外線(UV)照射装置の主な用途や特徴について詳しく解説していきます。

用途①:洗浄・表面改質

紫外線照射装置を使用することで、対象物表面にある有機物汚染の除去、表面改質を行うことができます。このような洗浄・表面改質の用途で用いられる紫外線(UV)照射装置を紫外線(UV)洗浄装置と言います。

紫外線(UV)洗浄装置は、はじめに低圧水銀ランプから発光する短波長紫外線のエネルギーからオゾンを生成します。その後、発生したオゾンに紫外線の殺菌用光源である254nm波長が照射されると、オゾンは分解されて活性酸素を作り出します。

活性酸素は強力な酸化力を持っており、紫外線のエネルギーによって切断された有機汚染質と化学的に結合する事で、二酸化炭素や水などの揮発性物質に分解させて洗浄します。

このようなメカニズムで洗浄・表面改質が行われます。

>>「紫外線(UV)洗浄装置の用途」について詳しくはこちら

用途②:硬化

紫外線照射装置は、紫外線硬化樹脂などを硬化(UV硬化)させる目的でも使用されます。

紫外線硬化樹脂は、モノマー(単量体)、オリゴマー(少数のモノマーが結合した重合体)、光重合開始剤、添加剤(フィラーや紫外線吸収剤など)で構成されています。

紫外線(UV)照射を受けた際、これらのうちモノマーとオリゴマー(液状)がポリマー(固体)に変化する「光重合反応」という化学反応が起こることで、接着や固定が可能となります。

このような、UV硬化を目的にしようされる紫外線照射装置を紫外線(UV)硬化装置と言います。

紫外線(UV)硬化装置は、様々な用途に活用されています。例えば、身近なところでは、ネイルの硬化や歯の詰め物の硬化などに使用されています。また、半導体製造工程におけるフォトレジストや光学部品の接着、住宅や車載向け表面コーティング、UVインクの硬化、3Dプリンターの造形、液晶フィルム基板の仮止めなどの用途で紫外線(UV)硬化装置は使用されています。

光ファイバー

>>「紫外線(UV)硬化装置の用途」について詳しくはこちら

また、硬化させる光の光源としては、従来はメタルハライドランプや紫外線ランプが多く使用されていましたが、環境への配慮やエネルギー効率の観点から、近年ではUV-LEDの使用の比率も高くなってきています。そのような紫外線(UV)硬化装置の光源としてのUVーLEDについても下記記事にて詳しく解説しておりますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。

>>「紫外線(UV)硬化装置の光源としてのUVーLED」について詳しくはこちら

用途③:殺菌

紫外線照射装置は、細菌やウイルスなどを殺菌するための用途でも使用されます。また、そのような用途で使用される、紫外線照射装置を紫外線照射殺菌装置と言います。

紫外線(UV)照射殺菌装置は、波長域100nm~280nmの深紫外線(UV-C)を照射することで、細菌やウイルスをはじめとした対象物の殺菌を行います。

波長域100nm~280nmの深紫外線(UV-C)は、ウイルスや細菌などのDNAやRNAに吸収される性質があるため、ウイルスや細菌などにUV-Cの紫外線を照射することでDNAやRNAに直接ダメージを与え、破壊することができます。これにより、化学薬品を使用しなくてもウイルスや細菌などを殺菌しています。

具体的には、食品洗浄装置の殺菌・除菌や基板の表面洗浄用水の殺菌・除菌、また各種ウイルス抑制・除菌、茶葉の殺菌などに主に使用されています。

茶葉殺菌装置用UV照射装置


また、UV-Aと光触媒も併用することで、除菌だけでなく、脱臭効果を合わせもつ紫外線(UV)照射殺菌装置もあります。

>>「紫外線(UV)照射殺菌装置の用途」について詳しくはこちら

用途④:露光

紫外線照射装置は露光を目的にした場合でも使用されます。そのような露光を用途とした紫外線照射装置を紫外線(UV)露光装置と言います。

露光装置は、作成した回路パターンデータをウエハと呼ばれるシリコンの板に焼き付け、パターニングする装置です。
このパターン生成技術やプロセスをフォトリソグラフィ、あるいはリソグラフィと呼びます。
原版をステージに配置し、紫外線(UV)を照射することで光が投影レンズを通り、半導体基板上に回路パターンが結像されます。

この露光が行われることで、、現像液によって不要なフォトレジスト部分を除去する「現象」やフォトレジストで形成されたパターンに沿って酸化膜・薄膜を削り取る「エッチング」といった半導体製造の次工程に移ることができます。

露光の際には、水銀ランプやKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV光源などの光源が使用されることがあります。

>>「紫外線(UV)露光装置の用途」について詳しくはこちら

用途⑤:非破壊検査

紫外線照射装置は非破壊検査にも使用されます。非破壊検査は、材料や製品の内部や表面の欠陥や劣化を、検査対象物を傷つけることなく調べる検査技術、検査方法ですが、その中でもPT:浸透探傷試験の一るである蛍光浸透探傷試験に、紫外線照射装置は使用されます。

蛍光探傷装置に使用されるUVの波長は365nmが一般的です。また、JIS Z 2343-1:2001(非破壊試験―浸透探傷試験―第一部:一般通則)では20Lx以下の暗さの中で観察を行い、紫外線強度は1000μW/cm2以上が必要とされています。

>>「紫外線(UV)照射装置を用いた非破壊検査の用途」について詳しくはこちら

用途⑥:脱臭・消臭

紫外線照射装置は脱臭・消臭にも使用されます。このような用途で使用される紫外線照射装置は、主にUV-C(深紫外線)波長領域を利用します。

UV-Cはその特性上、強力な殺菌・消毒効果を持つだけでなく、特定の物質や有機化合物に対しても効果を発揮するため脱臭・消臭用途において幅広く活用されています。

具体的な仕組みとしては、UV-Cランプが放射する紫外線によって、空気中の有害な微生物や臭気成分が活性化し、酵素の活性を阻害することで消臭効果を発揮すると考えられています。また、紫外線によって化学反応が促進され、臭気を分解する働きもあります。

紫外線照射装置は、例えば、ごみ処理施設、トイレ、食品工場、動物臭のある場所など、様々な環境で効果を発揮します。

用途⑦:サンシャインウェザーメーター(耐候性試験機)

サンシャインウェザーメーター(耐候性試験機)は、太陽光による劣化を評価するための装置です。紫外線照射装置はこの装置にも利用されています。

用途や求める波長によって、サンシャインウェザーメーターに搭載される紫外線(UV)照射装置、光源は異なります。主な光源は、キセノンランプ、メタルハライドランプなどです。

サンシャインウェザーメーター用紫外線(UV)照射装置

サンシャインウェザーメーター内で使用される照射装置や光源は、試験する環境や特性によって異なるため、検査を行いたい環境や条件に合わせて適切な紫外線(UV)照射装置を選ぶ必要があります。

>>「サンシャインウェザーメーターに使用される紫外線(UV)照射装置について」について詳しくはこちら

用途⑧:乾燥

紫外線照射装置は、塗料やインクなどの乾燥用途にも使用されます。そのような用途で使用される紫外線照射装置を、紫外線(UV)乾燥装置と言い、特に表面に塗布された塗料やインクなどの薄い層の材料を急速に乾燥させるために使用されます。

紫外線(UV)乾燥装置は波長が長い385~405nmを使っています。その理由は、①UV硬化樹脂の深層部まで届きやすい為、②印刷用UV硬化インクに含まれる顔料に阻害されにくい為、の2点があげられます。

以前は熱乾燥方法で乾燥させてましたが、UV乾燥装置によって乾燥時間を大幅に短縮できるようになりました。これにより生産性が向上し、製品の生産時間が短縮されました。また、熱を発生させる必要がないため、他の熱乾燥方法と比較してエネルギー効率が高く、省エネルギーになります。

紫外線(UV)乾燥装置は、様々な用途に使用されており、その中でも主に印刷業や基材加工業向けに使われております。

>>「紫外線(UV)乾燥装置の用途」について詳しくはこちら

「紫外線照射装置の用途」を動画で学ぶ!

以下の動画でAIナビゲーターが「紫外線照射装置の用途」を解説していますので、こちらも是非ご確認ください。

各用途における紫外線(UV)照射装置のアプリケーション

ここからは、各用途における紫外線(UV)照射装置の具体的なアプリケーションについて紹介します。

「用途①:洗浄・表面改質」の事例:半導体ウエハ用紫外線(UV)オゾン洗浄装置

半導体ウエハ用UVオゾン洗浄装置

半導体ウエハの洗浄用途で、UV照射装置が用いられています。UVを照射することでオゾンを生成し、オゾンによりウエハ表面の有機物を除去します。半導体ウエハ用UVオゾン洗浄装置は試作・開発用、量産用があります。試作・開発用は半自動で生産能力が低く、量産用は自動機となります。

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「用途②:硬化」の事例:光ファイバーコーティング材硬化用UV照射装置

光ファイバー

光ファイバーの保護や強度の向上を目的に、コーティング材が塗布され、コーティング材の硬化にUV照射装置が使用されます。コーティング材によって用いられる波長は異なります。複数波長の照射が必要な場合が多く、光源としてメタルハライドランプや高圧水銀ランプが使用されます。

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「用途③:殺菌」の事例:UV水除菌装置

UV水除菌装置

水の除菌装置には、UV照射装置が搭載されています。水除菌装置の用途は、上下水道、飲料、ボイラー水など様々です。220nm程度の深紫外線領域のUVが用いられており、水銀ランプを光源にすることが一般的です。

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「用途④:露光」の事例:コーターデベロッパ用紫外線(UV)照射装置

半導体製造装置のコータデベロッパとは、フォトレジストの塗布と現像を行う装置です。シリコンウエハにレジストをスピンコートした際に発生するウエハ周辺部の不要レジストを除去するために、UV(紫外線)照射装置が用いられています。

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「用途⑤:非破壊検査」の事例:蛍光浸透探傷装置用紫外線(UV)照射装置

蛍光浸透探傷装置用UV照射装置

蛍光浸透探傷装置は、蛍光物質が添加された浸透液をワークに塗布し、紫外線を当てることで、目視による発見が難しい傷の有無を、非破壊で検査する装置です。蛍光探傷装置に使用されるUVの波長は365nmが一般的です。また、紫外線強度が求められることからUVランプ・UV-LEDが光源として使用されています。

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「用途⑥:脱臭・消臭」の事例:脱臭・消臭器用UV照射装置

脱臭・消臭器用UV照射装置

空間の脱臭・消臭用途として、UV照射装置が搭載される脱臭装置があります。365nm等の近紫外線LEDと光触媒により脱臭効果を持つ装置が多く、殺菌効果のある深紫外線265nm、280nmのLEDが用いられることもあります。

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用途⑦:サンシャインウェザーメーター(耐候性試験機)」の事例:サンシャインウェザーメーター用紫外線(UV)照射装置

サンシャインウェザーメーター用紫外線(UV)照射装置

サンシャインウェザーメータは、耐候性試験機と呼ばれ、太陽光による劣化を評価する装置です。太陽光と同様の条件を人工的に作り出す必要があり、屋外と比較し促進倍率10倍以上で試験を行うことが可能です。用途、求める波長によって、サンシャインウェザーメーターに搭載される光源は異なります。

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用途⑧:乾燥」の事例:UV乾燥機用照射装置

UV乾燥機用照射装置

印刷用UVインキについて、硬化させるためにUV乾燥機が用いられており、UV乾燥機にはその名の通り、UV光源が搭載されています。
求める波長や用途によっては、メタルハライドランプ、キセノンランプが用いられています。

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