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04 紫外線(UV)照射装置の基礎

紫外線(UV)照射装置とは

本記事では、紫外線(UV)照射装置とはどのようなものか、詳しく解説していきます。

紫外線(UV)照射装置とは

紫外線照射装置は、紫外線を発生させる装置であり、様々な目的に使用されます。

紫外線は、可視光線の外側に位置する電磁波であり、波長によってUV-A、UV-B、UV-Cの3つの種類に分けられます。それぞれ各波長には、使用される用途に違いがあります。例えば、UV-Cは、空気や水、表面などの殺菌・消毒、脱臭などの用途として使用されます。

>>「UVの種類と波長域」について詳しくはこちら

紫外線(UV)照射装置の種類

弊社の取り扱う UV照射装置は、搭載する発光源で分けた場合、UVランプ照射装置とUV-LED照射装置に分類することができます。

UVランプは、石英ガラス管内に発生させた金属蒸気(弊社で扱うランプは、主に水銀)内で放電することで紫外線を発光するもので放電灯とも呼ばれています。
一般的に絶縁ギャップを保持するように配置された電極間の距離に応じて、ショートアークランプ(10mm以内)とロングアークランプ(数100mm)に分けられます。ランプの電力は、それぞれの用途で要求されるUV量に応じてさまざまな仕様のものが製品化されています。

>>「紫外線(UV)照射装置の種類」について詳しくはこちら

紫外線(UV)照射装置の用途

次に、紫外線(UV)照射装置の用途について解説を行います。紫外線(UV)照射装置の用途について、下記記事でも詳しく解説しておりますので、是非こちらも合わせてご覧ください。

>>「紫外線(UV)照射装置の主な用途や特徴をご紹介!」について詳しくはこちら

用途①:洗浄・表面改質

紫外線照射装置を使用することで、対象物表面にある有機物汚染の除去、表面改質を行うことができます。このような洗浄・表面改質の用途で用いられる紫外線(UV)照射装置を紫外線(UV)洗浄装置と言います。

>>「紫外線(UV)洗浄装置の用途」について詳しくはこちら

用途②:硬化

紫外線硬化樹脂は、モノマー(単量体)、オリゴマー(少数のモノマーが結合した重合体)、光重合開始剤、添加剤(フィラーや紫外線吸収剤など)で構成されています。

紫外線(UV)照射を受けた際、これらのうちモノマーとオリゴマー(液状)がポリマー(固体)に変化する「光重合反応」という化学反応が起こることで、接着や固定が可能となります。

>>「紫外線(UV)硬化装置の用途」について詳しくはこちら

>>「紫外線(UV)硬化装置の光源としてのUVーLED」について詳しくはこちら

用途③:殺菌

波長域100nm~280nmの深紫外線(UV-C)は、ウイルスや細菌などのDNAやRNAに吸収される性質があるため、ウイルスや細菌などにUV-Cの紫外線を照射することでDNAやRNAに直接ダメージを与え、破壊することができます。これにより、化学薬品を使用しなくてもウイルスや細菌などを殺菌しています。

>>「紫外線(UV)照射殺菌装置の用途」について詳しくはこちら

用途④:露光

露光装置は、作成した回路パターンデータをウエハと呼ばれるシリコンの板に焼き付け、パターニングする装置のことを指します。
露光の際には、水銀ランプやKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV光源などの光源が使用されることがあります。

>>「紫外線(UV)露光装置の用途」について詳しくはこちら

用途⑤:非破壊検査

紫外線照射装置は非破壊検査にも使用されます。非破壊検査は、材料や製品の内部や表面の欠陥や劣化を、検査対象物を傷つけることなく調べる検査技術、検査方法ですが、その中でもPT:浸透探傷試験の一るである蛍光浸透探傷試験に、紫外線照射装置は使用されます。

>>「紫外線(UV)照射装置を用いた非破壊検査の用途」について詳しくはこちら

用途⑥:脱臭・消臭

主にUV-C(深紫外線)波長領域を利用します。UV-Cはその特性上、強力な殺菌・消毒効果を持つだけでなく、特定の物質や有機化合物に対しても効果を発揮するため脱臭・消臭用途において幅広く活用されています。

用途⑦:サンシャインウェザーメーター(耐候性試験機)

サンシャインウェザーメーター(耐候性試験機)は、太陽光による劣化を評価するための装置です。紫外線照射装置はこの装置にも利用されています。

用途や求める波長によって、サンシャインウェザーメーターに搭載される紫外線(UV)照射装置、光源は異なります。主な光源は、キセノンランプ、メタルハライドランプなどです。

>>「サンシャインウェザーメーターに使用される紫外線(UV)照射装置について」について詳しくはこちら

用途⑧:乾燥

紫外線照射装置は、塗料やインクなどの乾燥用途にも使用されます。そのような用途で使用される紫外線照射装置を、紫外線(UV)乾燥装置と言い、特に表面に塗布された塗料やインクなどの薄い層の材料を急速に乾燥させるために使用されます。

>>「紫外線(UV)乾燥装置の用途」について詳しくはこちら

紫外線(UV)照射装置が使用される業界

次に、紫外線(UV)照射装置が使用される業界について詳しく解説を行います。下記記事でも詳しく解説しておりますので、こちらも合わせてご覧ください。

>>「紫外線(UV)照射装置が使用される業界とは」について詳しくはこちら

業界①:半導体

紫外線照射装置は、半導体の製造において重要な役割を果たしています。紫外線(UV)照射装置は主に、半導体ウエハーに関連して使用されます。具体的には、本露光、周辺露光、半導体ウェハーの洗浄、外観検査、UVテープの剥離などに用いられます。

>>半導体に使用される紫外線(UV)照射装置とは

業界②:病院・医療施設

紫外線(UV)照射装置は、病院や医療施設における医療機器に使用されます。

具体的には、病院や医療施設での感染制御や滅菌処理に使用されます。紫外線照射は、微生物やウイルスの不活性化や除去に対して効果的な方法であり、医療機器の滅菌や感染症対策の一環として使用されています。

>>医療機器に使用される紫外線(UV)照射装置について

業界③:水処理プラント

水道や浄水場では、バクテリア、ウイルス、寄生虫などの微生物がおり、殺菌や消毒が必要とされます。浄水場に使用される紫外線(UV)照射装置は、水中の微生物や病原体を不活性化させ、水の消毒や殺菌を行うことができます。

>>浄水場で使用される紫外線照射装置とは

業界④:液晶業界

液晶業界、その中でもフラットパネルディスプレイ(FPD)(※以下FPD)において、紫外線(UV)照射装置は使用されます。FPDに使用される紫外線(UV)照射装置の用途は主に3つあり、①FPD基板の洗浄②露光用途③液晶封止です。

業界⑤:印刷業界

紫外線照射装置は、印刷業界でも使用されます。具体的には、印刷用UVインキについて、硬化させるためにUV乾燥機が用いられており、UV乾燥機にはその名の通り、UV光源が搭載されています。求める波長や用途によっては、メタルハライドランプ、キセノンランプが用いられています。

⑥:インフラ

紫外線照射装置は、インフラ業界でも使用されます。具体的には、水道管工事に使用される補修装置には紫外線(UV)照射装置が搭載され、塩ビ管をはじめ破損した配管の修繕に用いられています。配管の内部から樹脂が塗布され、紫外線(UV)照射装置にて硬化します。

業界⑦:住宅

紫外線照射装置は、住宅業界でも使用されます。具体的には、住宅のフローリング・家具・ドアなどの木工製品について、耐摩耗性や耐薬品性を付加するためにコーティング材が塗布され、硬化させるためにUV照射装置が用いられています。

業界⑧:自動車

紫外線照射装置は、自動車業界でも使用されます。具体的には、車の塗装やコーティング、パテなどの硬化用途でUV照射装置が用いられています。表面コート剤硬化装置のUV光源には、一般的にUVランプが用いられていますが、UV-LEDの置き換えにより待機時間(立ち上がり)と発熱の改善、Hgレス等が実現できます。

紫外線照射装置の安全性や使用上の注意点

ランプ型の紫外線照射装置の安全性や使用上の注意点

まず、ランプ型は光変換効率があまり良くないため、点灯時の発熱量が多く非常に熱くなります。消灯してもランプはすぐには冷えないため、装置からランプを取り出す際は十分にランプが冷えたことを確認した後に取り出さないと、やけどをする危険があります。

また、ランプ点灯直後はUV出力が安定していません。UV出力が安定した状態で使用するには、光源装置から出力されるランプ安定信号を目安にするか、ランプ自体が熱的平衡状態になるまで一定時間の暖気運転をするなどの配慮が必要です。

LED型の紫外線照射装置の安全性や使用上の注意点

次にLED型は、ランプ型と比較すると発熱が少なく、概ね瞬時点灯での照射が可能です。
ランプ型と比較すると発光源(LED)を交換する回数も少ないため扱いやすく、寿命を超えた点灯でも破裂するリスクがありません。ただし、LEDは放熱が悪いと熱的ストレスにより出力の低下や、素子自体を破損させるリスクがあるため『照射装置として規定された冷却状況』に適合した使い方をしなくてはなりません。
また、UV-LEDは出力波長が限定された単一波長となるため、用途によっては使用できない場合があります。

>>「紫外線照射装置の安全性や使用上の注意点」について詳しくはこちら

紫外線(UV)照射装置のアプリケーション

最後に、当社の代表的な紫外線(UV)照射装置のアプリケーションについて紹介します。

半導体ウエハ用紫外線(UV)オゾン洗浄装置

半導体ウエハ用UVオゾン洗浄装置

半導体ウエハの洗浄用途で、UV照射装置が用いられています。UVを照射することでオゾンを生成し、オゾンによりウエハ表面の有機物を除去します。半導体ウエハ用UVオゾン洗浄装置は試作・開発用、量産用があります。試作・開発用は半自動で生産能力が低く、量産用は自動機となります。

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コーターデベロッパ用紫外線(UV)照射装置

半導体製造装置のコータデベロッパとは、フォトレジストの塗布と現像を行う装置です。シリコンウエハにレジストをスピンコートした際に発生するウエハ周辺部の不要レジストを除去するために、UV(紫外線)照射装置が用いられています。

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ステッパー用紫外線(UV)照射装置

ステッパー用UV(紫外線)照射装置

ステッパーとは、半導体・液晶製造ラインで使用される投影露光装置です。ステップアンドリピート方式で露光を行い、本露光用とレチクル位置合わせ用としてUV(紫外線)照射装置が使用されています。
一般的には、本露光の光源としてUVランプが使用され、その光源からファイバーでUV光を導光させレチクルの位置合わせ用の照明として兼用されています。

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MEMS露光装置用紫外線(UV)照射装置

MEMS露光装置用UV照射装置

MEMSとはMicro Electro Mechanical Systemsの略で、シリコン基板・ガラス基板・有機材料などにセンサ・アクチュエータ・電子回路等をまとめて、多様な機能を集積化したデバイスのことを言います。
MEMS製造には一般的な半導体製造用露光装置ではなく、三次元の微細構造体を製作できるMEMS用露光装置が必要となります。その露光装置にUV光源装置が用いられています。

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ウイルス抑制・除菌装置用UV照射装置

ウイルス抑制・除菌装置用UV照射装置

商業施設や病院などで使用されるウイルス抑制・除菌装置用としてUV照射装置が使用されます。UVを照射することで、ウイルスや細菌のDNA/RNA構造が破壊されるため、ウイルス抑制・除菌が可能になります。
UV-Cを用いて除菌効果を持たせる他、UV-Aと光触媒により、除菌+脱臭効果をもつ装置もあります。

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脱臭・消臭器用UV照射装置

脱臭・消臭器用UV照射装置

空間の脱臭・消臭用途として、UV照射装置が搭載される脱臭装置があります。365nm等の近紫外線LEDと光触媒により脱臭効果を持つ装置が多く、殺菌効果のある深紫外線265nm、280nmのLEDが用いられることもあります。

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注射針 樹脂・金属接合用UV照射装置

注射針製造工程において、PC(ポリカーボネート)と金属の接合用途として、UV照射装置が用いられています。PCは紫外線を吸収し劣化の懸念があるため、照射角度や出力など、最適化が必要になります。 照射ヘッドについては、スポット型・ライン型の双方が、仕様に応じて用いられます。

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UV水除菌装置

UV水除菌装置

水の除菌装置には、UV照射装置が搭載されています。水除菌装置の用途は、上下水道、飲料、ボイラー水など様々です。220nm程度の深紫外線領域のUVが用いられており、水銀ランプを光源にすることが一般的です。

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FPD露光装置用紫外線(UV)照射装置

FPD露光装置用UV(紫外線)照射装置

FPD(フラットパネルディスプレイ)露光装置とは、液晶パネル・有機ELパネルなど、小型から大型デバイス用ディスプレイを製造する際に、ガラス基板に画素回路を形成するための装置となります。 FPD露光装置の中で、レジストをスピンコートした際に発生する、液晶パネル周辺部の不要レジストを除去するために、UV(紫外線)照射装置が用いられています。

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FPD用紫外線(UV)オゾン洗浄装置

FPD用UVオゾン洗浄装置

FPDを洗浄する場合、エキシマ光を利用した洗浄、大気圧プラズマを応用した洗浄がありますが、UVを用いたオゾン洗浄がなされる場合もあります。UV光源としては水銀ランプが用いられ、オゾンによりFPD表面の有機物を除去します。

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UV乾燥機用照射装置

印刷用UVインキについて、硬化させるためにUV乾燥機が用いられており、UV乾燥機にはその名の通り、UV光源が搭載されています。
求める波長や用途によっては、メタルハライドランプ、キセノンランプが用いられています。

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水道管補修用紫外線(UV)照射

水道管工事に使用される補修装置には紫外線(UV)照射装置が搭載され、塩ビ管をはじめ破損した配管の修繕に用いられています。配管の内部から樹脂が塗布され、紫外線(UV)照射装置にて硬化します。

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木工コーティング材硬化用UV照射装置

住宅のフローリング・家具・ドアなどの木工製品について、耐摩耗性や耐薬品性を付加するためにコーティング材が塗布され、硬化させるためにUV照射装置が用いられています。材料の加工段階でコーティング・硬化される場合もあれば、住宅のフローリングのように材料が敷かれたとあとに、塗布・硬化される場合もあります。 

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光ファイバーコーティング材硬化用UV照射装置

光ファイバー

光ファイバーの保護や強度の向上を目的にコーティング材が塗布され、コーティング材の硬化にUV照射装置が使用されます。
コーティング材によって用いられる波長は異なります。複数波長の照射が必要な場合が多く、光源としてメタルハライドランプや高圧水銀ランプが使用されます。ただし、254nm、365nmなどの単一波長で硬化が可能なコーティング材もあり、その場合には光源としてUV-LEDを使用することも可能です。

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光ファイバー・コネクタ接続用UV照射装置

光ファイバー・コネクタ接続用UV照射装置

光ファイバーとコネクタを接続する際、UVにて硬化する接着剤を用います。接着剤の種類によって対象となる波長は異なりますが、254nmや365nmの波長が一般的です。

コネクタ形状や材質によっては、UV-LEDを光源とすることが出来ますが、左記の制約によりUVランプを光源とすることが多くなっています。

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表面コート剤硬化用UV照射装置

車の塗装やコーティング、パテなどの硬化用途でUV照射装置が用いられています。
表面コート剤硬化装置は、基本的にはハンドツールであり人手にて作業を行います。

表面コート剤硬化装置のUV光源には、一般的にUVランプが用いられていますが、UV-LEDへの置き換えが検討されています。UV-LEDの置き換えにより待機時間(立ち上がり)と発熱の改善、Hgレス等が実現できます。

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